|
多飲・多尿の定義・・・1日に50ml/kg以上の尿の産生および100ml/kg以上の飲水量。多くは何らかの原因に基づく多尿に対する代償性の反応として多飲が現れる。
<日常多く遭遇する多飲・多尿を示す疾患群>
1. 子宮蓄膿症・・特に高齢雌犬
必要な検査・・超音波、レントゲン
*若い症例でも発生はある!
<特徴>
*未避妊雌(もしくは避妊済みでも子宮が残っている場合)
陰部の腫脹
血膿用のおりもの
長期続く発情出血(の様に見えるが発情出血ではない)
2. 腎不全・・特に高齢猫
<特徴>
高齢猫(ではないケースでもある)
削痩
嘔吐、しばしば下痢
貧血
特徴的検査所見・・BUN,Creaの上昇、等張から低張尿、高リン血症、低Ca血症
3. 糖尿病
<特徴>
食欲亢進
削痩
特徴的検査所見・・血清GLUの上昇、尿中GLUの持続的検出、フルクトサミンの上昇、Cholの上昇、ALPの上昇
4. 副腎皮質機能亢進症
<特徴>
食欲亢進
高齢犬
皮膚菲薄
乏毛
筋肉の弱体化(筋肉が少ない)
腹囲膨満
特徴的検査所見・・ALPの上昇
<特殊検査>
ACTH刺激試験でのPostコルチゾールの上昇
デキサメサゾン負荷試験でのコルチゾール抑制能力の低下
<多飲・多尿疾患の鑑別>
1. 利尿剤、甲状腺製剤の投与の有無
2. 高塩食を与えていないか
3. 未避妊雌 → 子宮蓄膿症Check・・・超音波検査、レントゲン検査
4. その他
<検査>
血液生化学検査・・・ALT,AST,ALP,TP,ALB,GLOB,GLU,BUN,Crea,Ca,Chol
臨床所見と血液生化学検査、必要に応じた超音波検査で上記の4疾病
(子宮蓄膿症、腎疾患、糖尿病、副腎皮質機能亢進症)は洗い出せる。
→ その他の疾病
上部尿路感染症
猫の甲状腺機能亢進症
高Ca血症
副腎皮質機能低下症
真性多血症
尿崩症
<追加検査>
Ca,Na,K,Cl,甲状腺機能Check、尿検査、血球計算
<尿崩症の鑑別>
水制限試験・・*あまり脱水の強いときは危険
バソプレッシン負荷試験
1. 下垂体性尿崩症
1)水制限試験に反応しない。尿浸透圧は300mOsm/kg H2O以下で、尿比重は1.001〜1.006程度の低値を示す。
2)バソプレッシン試験に反応する。(尿比重は1.020から0.030にまで上昇する)
2. 部分的尿崩症
1)水制限試験に若干反応する。(尿浸透圧は300mOsm/kg〜1000mOsm/kg H2Oとなる。)
2)バソプレッシン試験にある程度反応する。
3. 腎性尿崩症
1)水制限試験に反応しない。尿浸透圧は300mOsm/kg H2O以下。尿比重は1.010前後以下。
2)バソプレッシン試験に反応しない。
4. 心因性多飲
1)水制限試験に反応する。尿比重は上昇する。最大尿比重は1.015〜1.020程度の低値。
2)バソプレッシン試験に反応する。
<尿崩症鑑別試験の実施要領>
<水制限試験>
*ADH分泌に異常があるときは正しい尿濃縮能を反映しないことに注意。
*試験中の過度の脱水に注意。体重が5%減少した場合、尿浸透圧が5%未満の上昇を見た場合は試験をただちに中止する。
1. 絶食後12時間の時点で試験開始とする。膀胱尿を採尿して膀胱を空にし、体重を測定する。採尿した尿は廃棄する。
2. 水分の投与を完全に制限する。試験中はできるだけ空腹が望ましい。
3. 1,2時間間隔で採尿と体重測定を行う。採尿間隔は多尿の程度に合わせて設定する。採尿した尿について尿比重と尿浸透圧を測定する。
4. 尿比重が1.040以上であれば正常な濃縮能を保持していると考え、試験は中止する。それ以下の場合は、12時間ないしそれ以上試験を続行し24時間の試験終了時点まで、 採尿、体重測定、尿比重(尿浸透圧)測定を反復実施する。
24時間の時点で尿比重が1.040以上であれば、試験を中止。 1.030以下の場合はBUNや脱水の程度、体重の変化などから続行を検討する。 BUNが高値を示し、体重減少が5%以上の場合は中止する。BUNは正常で体重減少も5%以下の場合はさらに6から12時間試験を続行し、尿比重(尿浸透圧)を測定する。
<バソプレッシン負荷試験>
バソプレッシン(ピトレシン;三共)を
(1)
<15kgなら1.3μg
>15kgなら2.7μg 筋注
はじめは飲水を与えない。餌も試験中は与えない。
(2)60〜90分ごとに、体重と尿量(排泄量と膀胱尿)を測定。 失われた尿量と同量の水を供与。
(3)尿量および尿比重を順次測定 7時間程度で試験を中止します。 尿比重の最大値とそれが得られる時間を測定する。
|