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<病態>
副腎皮質ホルモンの過剰により起こる全身性の代謝異常
蛋白異化・・・蛋白 → 糖
合併症・・・糖尿病 脂肪代謝異常
ネガティブフィードバックによりTSH↓、T4↓、性腺系の抑制
* 自然発生の90%は下垂体性
<症状>
腹囲膨満
皮膚菲薄
多飲多尿
多食
乏毛(疾患の後期に現れる。また犬種によってはほとんど目立たない。)
肝腫大
軟部組織の石灰沈着
骨粗鬆症
パンティング
後駆に面疱が多い
< 鑑別 >
1.上記のような症状を表し得る他の疾患を除外
腹囲膨満 → 腹腔内腫瘍の有無、腹水の有無
多飲・多尿 → 多飲・多尿を示す疾患の鑑別
パンティング → 聴診、レントゲン、超音波検査などで呼吸器系、循環器系疾患を鑑別 etc...
2.投薬歴より医原性クッシングを除外
医原性クッシング・・・アレルギーなどで副腎皮質ホルモンの投薬量が多いことから 副腎皮質機能亢進症と同じような症状を呈している。 しかし外からホルモンを投与しているため、実際の副腎は萎縮している。 → 医原性クッシングの治療
血液生化学検査 → ALT,AST,BUN,CREA,GLU,TP,ALB,ALP,CHOL,TRIG
90%でALP上昇
超音波検査 → 副腎腫大・・正常:12〜33 × 3〜7mm
<確定診断>
−ACTH刺激試験−
副腎皮質の反応予備能力を測定する検査 副腎過形成や副腎腫瘍では外因性ACTHで刺激した際過剰な反応が見られる。 正常と比べて反応予備能力が大きくなっていることによる。
逆に、副腎が萎縮しているときは、ACTH刺激にほとんど反応しない。
刺激前コルチゾール・・血清0.3ml
5kg以上の犬・・合成ACTH(コートロシン;第一) 0.25mg I.V.orI.M.
5kgの犬・・合成ACTH(コートロシン;第一) 0.125mgI.V.orI.M
ACTH I.V.後30〜60分後のPost corti. or I.M.後60〜90分後の採血
(イヌのクッシング症候群における感受性)
自然発生クッシング・・90%が下垂体性そのうちうちACTH刺激試験で過剰反応が現れるのは75%程度 残り10%は副腎腫瘍そのうちACTH刺激試験で過剰反応が現れるのは50%程度
(ネコ)
1)朝採血・・・コルチゾール値測定
2)採決後すぐ合成ACTH(コートロシン;第一)0.125mg/head 静注
3)コートロシン注射後、30分後、60分後に採血(Post)
*採血は安静状態で確保された留置針から行われることが望ましい。
− 低用量デキサメサゾン抑制試験 −
*視床下部−下垂体-副腎軸のネガティブフィードバック機能を評価する検査
通常ではデキサメサゾンを投与するとネガティブフィードバック機能が働いてコルチゾール値は低下する。
1) Corti測定用に血漿または血清を採取
2) 0.01mg/kg(or0.015mg/kg)のデキサメサゾンを10倍に正確に希釈し、I.V.
3) 投与後3〜4時間後に2回目、8hr後に3回目の採血を行う。
結果の解釈 ・・ 通常ではデキサメサゾンを投与するとネガティブフィードバック機能が働いてコルチゾール値は低下する。
* ACTH刺激試験より信頼性が高いが、少し時間がかかることが難点(クッシングの子はストレスに弱い) また医原性クッシングの診断に用いることは出来ない。
<治療>
副腎皮質機能亢進症の管理
<T.OP'−DDDによる副腎皮質機能亢進症の管理>
OP'−DDD = ミトタン(オペプリム”日本ルセル−森下ルセル”) ・・・選択的に副腎皮質細胞を破壊する。特に腫瘍細胞は感受性が高く、 副腎の原発性腫瘍とその転移巣が選択的に縮小される。 また、ステロイド合成阻害作用も有する。
<治療>副腎腫瘍では外科的摘出により完治が見込まれるが、Ope自体適応になり得ない症例が多い。したがって下垂体性、副腎依存性にミトタンによる管理が推奨される。
― ミトタン療法 ―
*ミトタンは食事と共にあげるのがよい。
治療例(1)多くの教科書に記載されている方法
−導入−
・ 25mg/kg/Day BID5日程度で
・モニターはACTH刺激試験が簡便でよい
・導入に1ヶ月近くかかる例もある。1週間以内にモニターする。場合によってはミトタンを50%増量。
− 家での注意事項 −
・ 飲水量を測定してもらう。
・ 食事に対する執着度合いを見てもらう。食べ終わるまでの時間を測ってもらう。
その他起こりうる副作用と対策
・ 消化器症状(嘔吐など)・・ミトタン中止、モニター、用量分割
・ 虚脱、沈鬱、食欲不振・・ミトタン中止、モニター、Na・K・ClCheck! Pr0.2mg/kg程度投与
*虚脱にまでなる前に気づこう!
−導入の完了−
通常6〜14日で導入が完了する。
目安・・飲水量が60ml/kg以下になる。
食欲が少し陰りを見せる。
以上の症状がなくても1週間以内にモニタ−をし、対応を検討する。・・導入療法を継続するか、維持療法に移るか。
維持療法に移るならACTHの結果で薬用量と投与間隔を調整。 (何日目でミトタン中止になったか&その時の数値で維持量を決定)
−治療の目標−
・ 脱毛の改善
・ 運動能力の改善
・ Post Cortiの値を10に維持
*2週間ごとにモニターし、薬用量を決定していく。維持療法として25mg/kgを3〜4日に1回の投与を目安
治療例(2)漸増法
最近一部の先生を中心に提唱されている方法で人間の場合のやり方に準ずるもの。
OP'−DDD 5mg/kg 一日おき → 5mg/kg連日投与 → 5mg/kg BID →15mg/kg/Day→ 20mg/kg/Day → 25mg/kg/Dayのように徐々に増量する。
個体により感受性の異なることからOP'−DDDの治療中に突然死する症例がある。 そのためごく低用量から開始するという方法。 特に日本犬は危険性が高い。
*OP'−DDD投与は肝臓に負担がかかるため肝庇護薬と併用する方が良い。
治療例(3) ケトコナゾール(ニゾラール)を用いる方法
最近では、抗真菌薬であるケトコナゾールにステロイドホルモン合成を抑制する 作用のあることがわかり、OP'−DDDと併用するなどの使用方法がなされている。 単独投与では理論的には生涯の投与が必要となる。
ケトコナゾール 5〜10mg/kg BID
− 医原性クッシングの治療 −
* 原則・・内服、外用ともステロイドをゆっくりと切っていく。
* 内服 → 外用の順が切りやすい
* いきなり切らない・・医原性アジソンを起こしている可能性が高いので。
1) 0.2〜0.3mg/kg 1日おき1日1回程度のステロイドを補充しつつ患者の副腎機能の復活を待つ。 モニター → ACTH刺激試験・・副腎機能が戻っているかどうかのモニター
2) 徐々にステロイドを減らす。間隔を空けにくい場合少し1回用量を増やして間隔を空け、その後用量を落としていく。
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