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第7号(VOL.7) 2010年9月
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腎臓連載第3回目(5回連載)

糸球体濾過量(GFR: Glomerular Filtration Rate)の測定法

血清クレアチニン値による腎機能評価には限界があるため、早期の慢性腎臓病の検出には正確なGFR測定が必須である。。


日本大学 生物資源学部 獣医学科 獣医内科学研究室 教授
上地 正実 先生


イヌリンクリアランス

 現在、犬猫においても慢性腎臓病の対策が求められているが、CKDの診断、重症度や治療効果の判定には糸球体濾過量(GFR)が用いられる。

表1. 糸球体濾過量(GFR)測定に必要な物質の特徴
1. 腎臓のみから排泄される
2. 血漿蛋白に結合しない
3. 糸球体で自由に濾過され、尿細管で分泌や再吸収を受けない
4. 生物学的活性が無い
5. 腎臓以外で合成も代謝もされない


GFR測定に必要な物質の特徴を表1に示した。従来、GFR測定にはクレアチニンクリアランスが汎用されていたが、クレアチニンは尿細管への分泌により排泄されるため、正確なGFRを反映していない。特に、糸球体機能が低下した際にGFRを過大評価し重篤な腎機能障害を見逃す危険性がある。一方、イヌリンは下記に挙げた条件をすべて満たしており、理想的なGFR測定物質である。
 米国のKDIGO(Kidney Disease: Improving Global Outcomes)ガイドラインは、慢性腎臓病の腎機能をGFRで評価する方向に進んでいる。人医学では血中クレアチニン値からGFR推算式により推定GFR(eGFR)を簡易的に求める方法があるが、人種で推算式が異なり、3?4年毎に式が見直されている。本邦では2006年にイヌリンが保険薬価収載され使用可能となったため、イヌリンクリアランスによる正確なGFR測定が可能となった。現在、医学領域で標準的に実施されているイヌリンクリアランス試験は、イヌリンの血中濃度を可及的に一定とするため持続点滴ならびに30分間隔で4回の完全排尿および3回の採血を必要とする(図)。そのため、この方法を日常の診療へ応用するには手技が煩雑で患者への負担も大きい。そこで、日本腎臓学会では763例のイヌリンクリアランスを測定し正確なGFRの基準値を求めるプロジェクトを進めている。

 一方、犬猫の慢性腎臓病においては、2007年にIRISによって提唱された血清クレアチニン値をもとにしたステージ分類を使用している(図)。しかしながら、先に述べたように血清クレアチニン値による腎機能評価には限界があるため、早期の慢性腎臓病の検出には正確なGFR測定が必須である。現在、IRISでは、犬猫においても人と同様の推定GFR推算式の作成が模索されているようだが、動物ではeGFRの推算式を作るのが難しく、犬種や猫種によって体格や代謝に違いが生じるため現実的ではないと思われる。したがって、将来的には小動物臨床に適合した簡便かつ正確なGFR測定法の確立が必要である。


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